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On (On Running):AIカスタマーサポートで問い合わせの70%を自動対応、担当者の生産性2倍を達成

  • Writer: Ryosuke Murai
    Ryosuke Murai
  • Feb 25
  • 4 min read

シューズやスポーツウェアなど、顧客からの問い合わせが多岐にわたる業界では、AIを使ったカスタマーサポートが急速に注目されている。今回紹介するOn(On Running)は、問い合わせの70%をAIで対応し、担当者の生産性を2倍に高めることで急成長を支えた。さらに年間売上が20億ドル近くに到達するなかでも、質の高い顧客体験を維持している点が注目に値する。




 

Onはスイス発のランニングシューズブランドで、高い機能性と環境配慮が特徴。急激な売上増(2023年には約20億ドル)に伴い、世界各地の顧客から多数の問い合わせを受けるようになった。既存のカスタマーサポートチームだけでは対応が困難になり、よりスピーディでスケーラブルな顧客対応が必要とされた。その解決策として、AIを活用した自動応答プロアクティブな課題解決に踏み切った。


 
  • 70%の問い合わせをAIが自動返答(全世界からの多言語問い合わせ対応)

  • 50%以上の問い合わせは人間の手を介さず、AIのみで解決

  • 担当者の生産性2倍(10%の人員増で問い合わせ対応数250%増)

  • 顧客待ち時間93%削減


 

OnはDigitalGeniusのソリューションを導入し、メールやチャットなど複数チャネルで自動応答&プロアクティブ対応を実現している。特に以下の2つのAI機能が大きな役割を果たしている:

  • Purchase AI 顧客がどんな用途・スタイルを求めているかを解析し、最適なシューズやウェアを自動提案。ランニング頻度や好みのクッション性など、多数の要素を考慮して商品をレコメンドし、クロスセル・アップセル効果も狙える

  • Proactive AI 注文や在庫情報を常時スキャンし、配送遅延や在庫切れなど潜在的な問題を事前に察知。発生前に対応策を打つことで、クレームを大幅に削減し、顧客満足度を高める

また、OnはDamage Detectionや他のGenerative AI機能も活用し、顧客問い合わせの自動処理と個別最適化を同時に実現している。



 

(1) 24時間・多言語対応で機会損失をゼロに近づける

オンライントラフィックが増加してもAIが大半の問い合わせを即時処理し、コアな案件のみ人間のエージェントが対応。結果、世界各国の顧客をスムーズにカバーできる体制を構築


(2) 製品アドバイスまでもAIがサポート

Purchase AIがランナーの用途や好みに合ったシューズを自動提案。クロスセルやアップセル効果を生み出し、売上アップに寄与。一方、Proactive AIが配送・在庫トラブルを先回りして解決し、クレーム減と満足度向上を両立



 

  • “大量問い合わせ”を捌く仕組みを小規模でも作れる

    AI導入は大手企業だけのものと思われがちだが、クラウド型ツールの登場で中小企業でもスモールスタートが可能

  • 人材不足でもブランド価値を維持

    営業時間やスタッフ人数の制約があっても、AIが補完すれば顧客満足度を下げずに拡大ができる

  • 受け身の顧客対応を“攻め”の営業に転換

    問い合わせに答えるだけでなく、Proactive AIで問題を先読みし、Purchase AIで最適な製品を提案するなど、売上を拡大する戦略にもAIは使える



 

OnがAIサポートを導入した結果は、単なるコスト削減にとどまらず、顧客体験を大きく向上し、売上増に直結した点が大きな学びだ。日本の中小企業でも、問い合わせ件数が増えて困っている場合や、多言語対応のニーズが高まっている場合、AIを導入することで大手並みの対応力を持つことが可能だ。


Quest AIでは、こうした海外の成功事例をもとに、小規模企業が短期間でAIを取り入れ、顧客満足度と営業効率の両面を伸ばすためのサポートをしている。まずは一部チャネルからAIを試し、スタッフをコア業務に集中させる第一歩を検討してみてはどうだろう



 

【補足:DigitalGeniusとは?】

DigitalGeniusは、AIを活用したカスタマーサポートソリューションを提供する企業。特にPurchase AIが商品提案やアップセルを行い、Proactive AIが発送遅延などを先回りで解決する機能を備える。問い合わせやトラブル対応だけでなく、顧客体験を“攻め”の面から向上させるのが特徴で、大手から中堅まで多くの企業が導入している。

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