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Geotab：AI契約審査でNDAレビュー時間75%短縮、法務業務を効率化

  • Writer: Ryosuke Murai
    Ryosuke Murai
  • Feb 7
  • 4 min read

Updated: Feb 20

車両管理サービスを提供するGeotabのように契約数が多く、法務チームが小規模でもAIを活用すれば大幅な時間短縮と生産性向上が見込める。今回紹介するカナダのGeotabは、AIツールを使ったNDA（秘密保持契約）レビューを、従来1時間かかっていた作業を15分程度に短縮し、約75%もの効率化を実現した。専門知識が要りそうな契約業務でも、定型的な部分はAIが処理し、人間が本来注力すべき複雑な部分に時間を割ける好例だ。



 

Geotabは世界約2,000人の社員を擁する自動車向けテレマティクス企業。急成長に伴って契約業務も膨大になる一方、法務チームは8〜9人ほどと少人数だった。大量の契約書を捌くうえで、「どれも手作業で確認するのは非効率」という課題を抱え、AIで効率化する方針を模索していた。


 

  • NDAレビュー時間を1時間→15分に削減（約75%効率化）

  • 導入5か月で40〜50本のNDAを処理し、1件あたり45分短縮

  • その他の契約文書にも好影響（非定型部分に集中でき、全体の精度が向上


 

Geotabが取り入れたのは、Microsoft Word上で動作する「Ivo」というAIプラットフォーム。契約書レビューやリスク検知を自動化する仕組みを備え、数多くの法務チームが使うWordのインターフェイスに直接統合できるのが大きな利点だ。NDAなど定型部分の多い契約については、あらかじめ設定した“プレイブック”や“チェックリスト”に沿ってAIが論点を洗い出し、提案の根拠まで示してくれる

  • Wordとのネイティブ連携により、法務担当者が使い慣れた環境のままAI機能を活かせる

  • NDAレビュー用のプレイブックを作り、定型的な条文のチェックを自動化

  • 改善点についてAIが根拠や理由も提示するため、人間が確認しやすい仕組みになっている


 

  1. まずNDAで成果を確認、そこから他契約へ拡大

当初はNDAレビューの効率化が目的だったが、導入後の成果を見て、チームはベンダーソフトウェアの規約やEULA（エンドユーザー使用許諾契約）にもIvoの適用を拡大。さらに、マーケティング関連の契約（イベントや広告の挿入）など、ボリュームは多いが定型部分も多い分野への拡張も進めている


  1. 定型チェックをAIに任せ、人間はイレギュラー対応に注力

NDAのように文面が比較的パターン化されている契約書はAIに任せやすい。法務チームは独特な条項や不規則なリスクへの対処にリソースを集中できるようになった


  1. Wordプラグインで学習コストを最小化

新しいシステムを覚えなくても、普段使っているWordの画面でAIが条文をレビューしてくれる。弁護士が複数のサイトにログインする必要がなく、チーム全体で導入しやすかった


 

  • 専門性の高い作業でも、定型部分はAIで自動化できる

今回のAIによる業務効率化において、主に法務業務の定型部分をAIに任せている。アメリカなどのAI先進国以外の企業でも成果を上げているのは、中小規模の組織こそ定型作業の比率が高く効果が大きい証拠

  • コスト削減だけでなく“本質的な業務”に時間を使える

AIはただの経費カットツールではない。定型チェックをAIに任せれば、イレギュラー案件や重要顧客対応など、より価値のある仕事に人員をシフトできる。結果として企業全体の成果が高まる

  • 既存環境への組み込みなら導入しやすい

Wordプラグインのように既存環境と統合できる仕組みを選べば、社内のITリテラシーに関係なくスムーズに定着する。日本企業でも、まずはNDAなど特定の契約書にAIを試すのが最初の一歩になるだろう


 

Geotabの事例は、AIが契約書レビューの時間を大幅に削減し、法務部の負担を軽くしただけでなく、人間がイレギュラーや本質的な課題に向き合う余裕を生んだ好例だ。日本の中小企業も、一定のパターンがある定型業務をAIに任せれば、現場での仕事を大きく効率化できる可能性がある。


Quest AIでは、海外で蓄積されたこうした活用事例をもとに、日本企業が小規模でもAI導入を成功させるための情報とサポートを提供している。自社の契約書レビューや書類チェック業務にAIを取り入れれば、思いのほか大きな効果が得られるかもしれない


 

【補足：Ivoとは？】

Ivoは契約書作成・レビューの効率化を目的に開発されたAIプラットフォーム。企業ごとの条項ライブラリやチェックリストを登録し、Wordプラグインとして動作するのが特徴。AIが条文を逐一解析し、修正提案や根拠を提示するため、法務担当者の作業時間を大幅に削減できる。弁護士や法務スタッフが使い慣れたWord環境のまま利用できる点や、契約種別ごとに独自のプレイブックを設定できる柔軟性が評価されており、NDAなど定型部分が多い契約では特に効果が大きいとされている

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